『うちの妹のばあい純愛版』(イージーオー)

義理の妹とはかくあるべきなんですよ!
ということで、『うちの妹のばあい純愛版』(イージーオー)攻略終了です。長かった……全ヒロインクリアした時点で「あー、長かった」と思ってCG取得率見てみて半分ちょっとしか埋まってなかった時の衝撃と言ったらなかったんだぜ。このゲーム、正直おまけとか外伝が本編です。エロ部分があまり肌に合わなかったのもあって、途中ちょっとダレてしまいましたが、取り合えずこれだけは言える。優香最高や! あと虎牙も最高や!

以下ネタバレ注意↓

そもそもこのゲーム、設定が良いです。
主人公には義理の妹がいます。とは言っても、朝優しく「おにいちゃん〜♪」と起こしてくれたり、「か、雷怖いよぉ……」とか抱きついてきたり、「あたし、お兄ちゃんのお嫁さんになりたいな」とか上目遣いで言ってきたりしません。……エロゲではよく見るシチュエーションですが、実際書いてて薄ら寒くなってきました。世の妹ゲー夢見すぎでしょう。
話を戻しますと、『うちの妹のばあい』の妹・優香はそういった妹ゲーの妹たちとは正反対。お兄ちゃんである主人公に悪態・罵倒は日常茶飯事。ですが、普通のよくいるツンデレ妹と違って、優香の場合は単なる理不尽キャラ(テンプレのツンデレ妹たちは言動が理不尽な上、そこまで色々言うくせにお兄ちゃんに対する心理的距離が0距離すぎね? 単なる甘えに見えて正直あまり好感度が……)じゃなくて、主人公への複雑な想いから一定の距離を保ってるんですよ。主人公からしてみれば、思春期の娘との微妙な距離が出来てお父さん悲しい、まさにそんな感じ。
この妹と兄の関係が複雑で、二人ともお互いに兄妹以上の想いを抱えているにも関わらず、全く正反対のやり方を選択でお互いに接するんですよね。
兄は、兄妹、という関係にすがり付いて、いつか来る別れの日を遠ざけるために、できるだけ良い兄でいようとする。義理だからこそ、血の繋がりがないからこそ、誰よりも妹を思いやる兄の気持ちで、真の兄妹よりも兄妹らしくあろうとする。けれど、そのために主人公は自分の時間も、打ち込んでいた野球も、それこそ自分の全てを投げ打ってしまう。そして、妹である優香に対して全力で『妹』として接してしまう。
けれど、優香はそんな兄のことが歯がゆくてたまらないわけです。兄は自分の為に大好きな野球もやめてしまって、ずっと妹として自分を大切にしてくれている。けれど、自分は兄にそんなことをしてほしいわけじゃない。そして何より、そういう関係でいたいわけじゃない。妹の兄への微妙な距離は、「貴方のことが、誰よりも大切で、貴方も誰よりも私を大切にしてくれているけれど、でも”妹”として見て欲しいわけじゃないんだよ」というメッセージなのです。このすれ違いが本当に切なくてたまりません。優香がいじらしすぎる。

*通常ルート★★★★☆
通常エンド、と銘打たれてますが、実質優香エンド。優香と何となく恋人になる、って感じのエンドです。優香エンドがデフォルトと言わんばかりの『通常』エンドです。素晴らしい。共通ルートが多かったと思うのであまり感想らしい感想もないのですが、優香の誕生花である向日葵の花言葉が良かったです。
 ――私はあなただけを見つめる
これはまさに優香の本質と言えるものではないでしょうか。兄のためなら、身を引くことだって、自分のことを悪く思われたって、辛くて苦しいけれど、選択してしまう。けれど、それでも兄を一人の男として『見つめている』。これが優香エンドじゃないと言うんなら、本物の優香エンドはどんな出来なんだよ……末恐ろしい。

*優香&菜々子ルート★★★★☆
別名両方妊娠ルート。二人ともHBエッチありでした……お兄ちゃん、それはないよ(;´∀`)
まだ菜々子ルートに入ってないから分からないのですが、菜々子に惹かれていく兄を見た優香の想いってすごい複雑でしょうね。何せ菜々子は昔の無邪気に兄を慕ってた頃の自分にそっくりで、しかも兄は菜々子のそういう『昔の自分に似た』部分が良かったわけですから。このルートはエッチ中心ハーレム万歳!でしたが、見せ付けられるであろう菜々子ルートの優香の切なさの片鱗に今からお姉さんしょんぼりでした。

*純子ルート★★★★☆(純子:★★★☆☆)
ごめん、年増とか思っててごめん。学校で容赦なくべたべたしてきやがって、面倒くせぇ女だな、とか思っててごめん。純子さん、ちゃんとした大人の人だったね……。
このルートのヒロイン・純子さんは兄妹の隣の家に住んでて、兄の担任でもあるお姉さん。良く過剰なスキンシップを兄にはかってきては困らせるという困ったお姉さんです。けれど、兄としての立場から優香を上手く叱れない主人公の代わりに優香を諭すエピソードや、兄妹のお母さんからとのエピソードは素直に良かった。あと主人公を襲ってる時の一歩間違えればヤンデレになる勢いの情熱はすごかったです。『お姉さんが食べちゃう』系の良さが少し分かった気がしました(分かるなよ、んなもん)。
あとですね、イージーオーのゲーム、すごく芸が細かくてサービス精神が旺盛なので色々オマケがついてくるんです。前にやった『幼なじみな彼女』もそうだったんですけど、シナリオの細かい補完がすごい。攻略の程度に合わせて色々分かる仕組みになってるんですよね。
『プロフィール』:各キャラクターの細かい設定が裏設定が公開される
『外伝モード』:各ルートの裏での他のキャラクター視点の話が公開される
『お兄ちゃん年表』:本編で語られることのない、主人公のこれまでの細かいエピソードが公開される
『オモチャ箱』:本編で語られることのない小ネタが公開される
んで、このうち『外伝モード』がやばすぎる……純子さんを攻略したところで閲覧可能になったエピソード、純子さんルートでの優香の話なんですが、主人公本人が起きてる時には「アニキ」って冷たい声で軽蔑したように呼ぶのに、本人が寝てる時には「お兄ちゃん」って最高の笑顔で呼ぶ優香が可愛すぎる。何だこれ、やっぱり妹ゲーじゃねぇか。
あと、優香が貧乳なので純子さんの胸の大きさを気にしてたりするんですが、プロフィールから見ると2センチしか違わないよ……アレー……?

*さゆりルート★★★☆☆(さゆり:★★★☆☆)
年上のお姉さんが食べてあげるエンドパートツー。正直そこまで印象に残らないルートだったのですが、ミルクをドアに向かって飛ばしたりとか良く分からないエッチが出てきてワロタw そう言えば、イージーオーのエッチシーンは個人的にはかなり親父的なノリがして、やってて恥ずかしいです。あ、さゆりさんは何と言っても声が良かったよ!

*美穂ルート★★★☆☆(美穂:★★☆☆☆)
悪女の体に溺れるルートktkr! っていうか途中まで美穂怖すぎるだろ……優香を妬むあまりに取った行動が恐ろしすぎる。一応愛情に裏打ちされて、ということではあるんですが……。
このルートでは、美穂が優香に言い放った「悲しいわよね。血も繋がってない妹なんて中途半端。本当の妹にもなれなければ恋人にもなれない」という台詞がすごく印象的でした。それと合わせて、その後の美穂の「義理の妹って卑怯よね」という台詞も。『うちの妹のばあい』はお兄ちゃんと妹のための物語ではありますが、それを外部から見てみるとこんな感じなのかなぁ、という。兄の未来の為に身を引く優香と、彼を諦められない美穂。どちらが深い愛か、と言われると甲乙つけがたい気がしますね、実際は。
あとオチがシュールすぎる……まさに悪女だぜ、美穂(;´∀`)

*優香ルート2★★★☆☆(優香:★★★★★)
美穂ルートから派生。……やべぇ、ツン状態から開放された優香のラブビームだだ甘具合がどうしようもねぇ! 正直美穂ルートでの健気さを見てからだと「よかったなぁ、優香……」という気分になりますが、何もない状態からこのエンディングを見てしまうと、「あれ、妹馬鹿になった……?」と思ってしまうであろうこと間違いナシです。

*菜々子ルート2★★☆☆☆(菜々子:★★☆☆☆)
優香が可哀想でみていられない、というのが正直な感想……義理の妹だから、一人の女性として見てもらえず、だけれど義理でも妹だから、誰よりも大事に扱われる、という悲劇。このルートのお兄ちゃんは結局優香を忘れられてないですね……あ、っていうかここまでこなしてきたルートで、優香の存在が霞むような恋人になったキャラっていないような……(;´∀`)

*菜々子ルート1★★☆☆☆(菜々子:★★★☆☆)
最期の虎牙にワロタw 何だこの笑える変質者→野球少年はw こっちのルート(多分無印なんだと思いますが)の方が、お兄ちゃんが良い感じです。でもアレです、セックスすると女の子に対して好感度マックスになるのはどうなんですか……。そういや今更気づいたけど、これ優香視点だと寝取られゲーですよね……お兄ちゃんが様々な女に取られていくという……。

*優香ルート1★★★★☆(優香:★★★★★)
妹可愛いよぉぉぉぉ……!! こ、こんな義理の妹がいたら俺は迷わず食べてしまうよ……気が強くて、でもそれはフリなところもあって、本当は気立てが良くて健気で、芯が強くて。そして一途にお兄ちゃんを想ってくれる。んでもってお兄ちゃんが格好良いよ……これまでのルートの理性持ち崩しっぷりは何だったのか、ってくらいの鉄の理性と妹への深い深い愛情がすごいよ……流石世界一のお兄ちゃんだぜ! あとこのルートは普通に虎牙が格好良い……っていうか良い奴。虎牙もお兄ちゃんのこと好き過ぎワロタw
あと初体験シーンが非常に良かったです。本当に何も知らない二人が手探りで、って感じで。

*真説純愛版・外伝など★★★★★(虎牙:★★★★★)
色々と蛇足な面もあるような気がしますが、取り合えず虎牙が格好良すぎる……。お兄ちゃんは基本ヒロインのルート入ったら暫くサルになってしまうので、どうしても好感度が下がってしまうのですが(あと、かれんに対するだだ甘な態度はすげー嫌だった……優香のこともっと大事にしろよな。他にも、もっと色々シリアスでも良いと思うんだ)、虎牙は純愛を貫いたり不器用だったりで外伝で漢を上げまくった。っていうか終わりの方にはもう「主人公虎牙で良いじゃない……」とか思ってしまった。いや、って言うか男が髪を切るCGがあるとかおかしいだろ。あと虎牙の一番良い表情は、間違いなく小柳とソファで座って、ビール片手に達哉VS大輔の試合見てるやつだと思う。
あ、あと同メーカーさんの『幼なじみな彼女』のキャラが出てきたのも良かったなぁ……あっちは主人公が照れ屋なので、あんまりヒロイン・舞をどう思ってるかとか言ってなかったですからねぇ。それだけでにやにやでした。


まぁこの作品、最期の方はほぼ野球バカ達に持って行かれた感じですねぇ……「男の子って、本当にバカ」みたいな感じの。
長かった……正直この長さをこなすほどの魅力があるとは言い切れないのですが。優香ルート+虎牙外伝で十分な気がします。っていうかそれだけの方がシンプルで良いと思う。