『装甲悪鬼村正』(Nitro+)プレイ日記1

……これはホント壮絶と言うか、プレイヤーに対して情け容赦ないことを一つのエンターテイメントに昇華していると言うか。正しい意味で18禁。温い展開を求める人はゴーホーム。まさにNitro+10周年に相応しい"怪作"です。素晴らしい。奈良原先生マジ半端ねぇッス! 相容れないけどお互いしか居ないカップリングを書かせたら右に出るものはいないかもしれない…。
あ、あと顔芸すごかったwww イケメンも美女も形無しですwwww ヒデェwwww


*一条ルート:★★★★★(一条:★★★★☆)
歪みなく真っ直ぐに求めるが故に歪んでしまったヒロイン・一条さんとの終わり方はあぁしかなかったと思う。潔白に一部の隙もなく正義を求め、その執行のための殺人を(消極的ながらも)肯定する一条さんと、殺人は殺人、そこに正義はないと否定する湊斗さん。この二人が交わりあえるわけがなかった。エピローグ、残ってしまった一人と一振りがギリギリで生きていること事態が、この二つの考え方にはどちらに軍配があがるわけでもなく、終わりのない争いが続くのを暗示しているのだと思います。
善悪相殺の意味は成る程な、と納得。それ故に光の一時期の湊斗さんに対する失望も、納得。つまりは嫌がっている限りは湊斗さんには覚悟が足りなかったと言うことなのですね。常に後悔・自問するだけでは足りない、その先を行く覚悟。最期には納得の行くあり方でいてくれたと思います。
…一条さんには正直そんな思い入れがないんで感想が短く…すいませ(ry


*香奈枝ルート:★★★★★(香奈枝:★★★★★)
香奈枝様マジ半端ねぇっす! ヒロインで高貴な身分な癖に殺人狂とか高笑い具合の邪悪さとかホントスゲェ…こんなヒロイン酷すぎるお(褒め言葉)。「何かを傷つけ害しぶち壊す以外のことに何の才腕もない方」ってすごい言われようだな…事実だが。けれどそれでいて、情の深さも隠し持っているところが好きでたまらない。自分の性根が腐りきってるところを理解しつくしているのもホント堪らない。正直に言う…幸せになる姿が全く想像できないが、湊斗さんと二人で生きて不幸になってほしかった。。。
しかし湊斗さんも香奈枝さんも、二人ともある一面ではものすごいストイックなのですね。香奈枝さんは確かに趣味嗜好である殺人で快楽を感じてはいるけれども、自分自身の個の価値には呆れるほど淡白で、"復讐者"としての自分を常に意識する高貴なる血(ノーブレス・オブリージュ)。それは湊斗さんもそうで、彼はこれまでの過去を積み上げた自分自身に対して呆れるほどに嫌悪している。その二人がお互いがお互いの大切なものを奪った関係であり、一方は一方を殺したいと願い、一方は一方に裁かれたいと願っている――何かもうこの構図だけでホント泥沼すぎて…正直ものすごい好みだったのです。
が、ラストに正体を明かさずに湊斗さんと香奈枝さんが戦闘になった辺りで決定的に覆されたというか、もうダメだったというか。香奈枝だけが唯一、湊斗景明に復讐されることが出来る立場に居る。彼女だけが唯一対等に裁き合える。この構図が本当に切な過ぎて。己の醜悪な嗜好をただの嗜好と認め、大義名分であった復讐を投げ捨ててすら、湊斗さんの弁明を肩代わりして生かそうとした香奈枝様の情の深さと言ったら…。
けどそれで終わらないのが村正ですね。過去も情も何もかも捨て去って残るのは殺し合いと復讐しかない。酷くロマンチックで、酷く救いがなく、血に溢れて無残な、悪の性根に相応しい、最期。けれど、どちらかが取り残されなくて本当に良かったと思います。