エロゲにおける妹ヒロインについて

先日私の唯一のリアルエロゲ仲間と言っても過言ではない晴鍋さんと喋った時に、何故か熱く「エロゲにおける妹ヒロイン」について語ってしまったので覚え書き。イマイチまとまりきってない感じもしますし、私自身妹ゲー専門にやってるわけでもないので単なる所感になってしまいますが(;´Д`)

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エロゲにおける妹は大きく2つに分類される。すなわち実妹と義妹である。攻略対象じゃない妹もいるが、今回は割愛する(ここまで読んで頭が痛くなった人はタブを閉じて元いた世界へお帰り下さい)。

基本的には妹ヒロイン(エロシーンあり)は義妹のはずだ。
かつて『シスター・プリンセス』でも一人の女の子としてヒロインを扱うほど血縁度(何じゃそりゃ)が下がっていたとおり、本来エロシーンのある妹とは"義妹"に他ならない。「近親相姦は良くないよね!」という話である。義妹であれば、"お兄ちゃんと妹"という関係性を崩さないまま、妹とのエロシーンを何の気兼ねもなく堪能できるわけである。
しかし義妹ヒロインの良いところは、単に背徳感というか引っ掛かりなくエロシーンを挿入できるだけではなく、"義理"であるからこその楽しみ方が出来る点にある。すなわち血縁関係がないからこそ過度に作り上げられる"兄妹らしさ"を楽しめるし、恋人になるにあたっては義理であることを強く意識した"ぎこちない兄妹関係"も楽しめる。
最たる例の一つとして『うちの妹のばあい(純愛版)』(イージーオー)の兄妹を挙げる。兄・達也は妹・優香と義理の兄妹であるからこそ、他の誰よりも優香の兄らしくあろうとする。しかしその"誰よりも兄であろうとする"こと自体がこの兄妹が恋愛関係を育んでいく障害となっているのである。また、"妹"と"彼女"の狭間で揺れ動く優香の心情が大変良いのだが、ネタバレになるので伏せる。
まぁまとめると、義妹は"近親相姦ではない"というロジックを備えながらも"兄妹の絆の強弱"を楽しめるというオーソドックスなタイプのヒロインなのだ。

しかし最近は実妹ヒロインもものすごく増えている。私がプレイしたもので今思いつくだけでも、『黄昏のシンセミア』(あっぷりけ)のさくや、『ラブラブル』(SMEE)の花穂、『アッチ向いて恋』(ASa project)のルナなど、割とすんなり挙げられる。だがこの実妹というのが実はまるっと一括りにできないように感じる。というのは"実妹"は、本来ならば"近親相姦の葛藤・背徳感"があってしかるべきなのだが、それが見られない作品も目立つからだ。
『黄昏のシンセミア』は"近親相姦の葛藤・背徳感"を感じられる実妹ヒロインとの関係を描いており、兄・孝介は妹・さくやをどれだけ気が合おうと仲が良かろうと最初はそういった意味で意識していない。二人が付き合うようになった際、周りには二人の交際に反対する人も出てくる。まさに、"近親相姦の葛藤・背徳感"が全面に出ているといって良いだろう。
一方、『ラブラブル』(SMEE)の花穂はほぼこの真逆と言って良い。兄・晴樹は少し葛藤するものの、比較的スムーズに妹・花穂を一人の女の子として意識することに成功している。晴樹が花穂との交際を発表する際、周りの人々は祝福ムードであり、"近親相姦の葛藤・背徳感"といったものはほぼ出てこない。他のヒロインと同様、花穂も普通のヒロインとして収まっているのである。

普通ならここで「何のための実妹やねん!」となるところであろうが、ヒロイン・花穂が実妹でなくてはならない理由は存在する。すなわち"実の兄妹だからこその距離感"自体は花穂に存在しているのである。これは先にあげた『黄昏のシンセミア』とも共通であり、ずっと一緒に育ってきたからこそ、血が繋がっているからこその"実妹の気の置けなさ"は、義理であるからこそ過剰に"兄妹らしく"あろうとする、もしくは恋愛関係になるに辺り"義理の関係であること"を意識させる義妹とは明確に異なっている。すなわち、"実の兄妹だからこその距離感"こそが一つの"実妹ゲーの楽しみ"となっているのだ。

自分的には実妹ヒロイン="近親相姦の葛藤・背徳感"という面のみで捉えていたので、上記のような新たな楽しみ方は目から鱗であった。何か落とさなくても良いものも落としてしまった気がするが、気にしないことにする。これはどちらが良い、と言うことはなく、敢えて言うならば作品の雰囲気に合った"妹"が一番良いと思われる。そうして色々な妹が生まれるうちに、また新たな発見もあるであろう。今後も色々な妹ヒロインが出てくることに期待したい。