『屋上の百合霊さん』(Liarsoft)

まだぽつぽつアナザーシナリオは残ってるんですが、ほぼメインストーリーはコンプしたので感想を。いやー、これは良い百合ゲーでしたね。って言っても私はあまり百合詳しくはないのですが。
絵から想像できるほのぼのとした雰囲気がそのままストーリーに現れてる感じ。絵・シナリオ・曲が全て同じ濃さ、同じ方向に収まったまとまりの良い良作だと思います。突き抜けたものはないけれど、寧ろ体験版をやった人ならば突き抜けたものなんて求めてない(期待してない)と思う。ユーザー像をしっかり絞って、その人達に心地良いと思ってもらえるものを創り上げた(そしてスタッフさんもそれを楽しんで、作品を愛した)、上手く色々と重なりあった作品だと思います。出会えて良かった、感謝。

普段だと攻略ヒロインごとにヒロインの点数とルートの点数つけてたんですが、今回はそれはなしで。何か群像劇、ってところもあるかもしれないけどうまく分けて点数が付けられないんですよ…皆で創り上げた話、って感じがすごくしてて。主人公の結奈が色んな人と関わっていってるだけじゃなくて登場人物同士も友達だったり関わりがあったりでちょっと上手く切り分けられない。メインストーリーは割と先の展開が読める感じではあるのですが、王道って感じで悪い気はしなかった。でもそう思うのって展開とかが段階を踏んですごい丁寧だからなんですよね。他のカップル達もどうやって出会って、どういう危機があって、それを誰かに助けられたり悩んだりしながら、相応の時間をかけて(ここ重要、良い感じに思春期・日常してたと思います)解決していく、近づいていく、っていうのがホントちゃんと描かれている。ボリューム不足、って感じる人も居たみたいですが、個人的には十分お腹いっぱいになりました。

お気に入りカプは愛来×陽香。日常会話とか噛み合ってないなーと思ってたんですが、エッチシーンの前のやり取りがものっそいツボで。普段見守ってるような雰囲気の愛来が攻めに出た途端にものすごい動じない強気さで普段押せ押せの陽香がたじたじしてる辺りが可愛くてたまらんかった! 臆病なところがある陽香の言い訳を一つ一つ強引にけむにまいて説き伏せていく愛来がたまらぬ。素晴らしい! あのやり取りだけでもうホントごちそうさまでした! 次点で牧ちゃんの啖呵かなー、かっこ良かった惚れる…。。。
お気に入りキャラは比奈ですねー、可愛いったらありゃしない。あぁいう子犬系の朴訥とした拍子抜けするぐらいに素直な子、大好き。
お気に入りの告白シーンは沙紗→羽美。相合傘の緊張感と、普段煩いほどにぎやかな羽美がホントに対処できてなくて言葉を理解した途端にいっぱいいっぱいになって黙り込んじゃあった辺りがものすごーく可愛かった! こっちもドキドキしてきたわ!

とは言え、どの子もどのカプも見所があってとても良かったと思います。多少カプに寄ってプレイ時間の長さに偏りがあったようにも思わんでもないですが、端折った感じはなく「過不足なく書いたらこの長さになりました」という感じだったので問題ないと思います。あ、ただ皆さん描かれてますがエッチシーンはあっさり目と言うか、「えっち」であることより「悶える」こと、あるいは「そのキャラたちらしさ」を重視していると思いますので、その辺りは念頭に置いた方が良いかと。

百合・群像劇・女の子たちのきゃっきゃうふふが好きだったら買って損はないと思われる良作でした。HPや体験版をプレイして期待したものをほぼ期待した形で得られる貴重な作品だと思います。