後は土日に読んだ本の感想

あ、すいません。上条さんに戻ってきちゃった。

土御門が死んでいれば……死んでなくても生死が分からなくて上条さんの目の前を去っていれば……良いプロットだったのにorz
今回の話は、サービスエピソードとシリアスな話の混じり具合が良い感じの巻ではありました。ねーちん、カラー口絵でもモノクロ絵でも湯上りサービスでした。話としては、1巻を髣髴とさせる二転三転は良かったし、凶悪殺人犯・火野に対して何も出来ない『一般人らしい』上条さんも良かった。けれど、最後が酷い。上条さんと土御門を戦わせた見せ場、上条さんが我侭と自覚しながらも吐いた言葉、そして土御門の熱さ――これだけ揃えときながら大団円にしてしまうのが……何だよそのオチ。エンディング読まなきゃ良かったよ、まったく。普通に日常に戻ってんじゃねぇ。私がこの巻にそげぶしたいよ!
この巻を読んでて分かったんですが、私、青臭さの残る上条さんに、多分色んな試練を通って、それでも今の想いや感情を大切にしたままに成長してほしいようなんですね。今回は良い機会だったのに……それで日常に戻っちゃったら結局「何とかなったんだぜ」って感じで終わっちゃうじゃないですか! そりゃラノベだから皆生きてて良かったね、キャラ小説だしね、って言うのは分かるけど……! でもあそこまで書けるんだったらその後も考えてくれよ、頼むよ……(´・ω:;.:...

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

先輩の言葉が全く胸に響いてたまりません。第四章の「果たして本当に彼女のことが好きなのか」という自問自答に対する先輩の答え(角川文庫だと289ページ)が青臭い、と言い切ってしまえない何かを孕んでいてすごく良い。これだけでお腹一杯です。内容も恋愛ファンタジーと銘打ってあるとおり、ポップでキュートで幻想的で、とにかく可愛らしい話でした。提灯の明かりくらいの柔らかい光に照らされた感じの話。
正直『太陽の塔』を読んだ時は、腹立たしすぎて途中で投げたのですが(はっきり言って、単なる京大生の日記。何の創作性も感じられない、ズボラなものと思えて仕方がなかった。レポートほどの正確さもなく、かと言って小説と言って良いほどの作者の中から削りだされたオリジナリティもない、と当時は感じていました)、『夜は短し歩けよ乙女』はきちんと物語してましたので、森見登美彦に対する認識を改めました。でも『太陽の塔』を読み返そうとは思えません……好きな人、すいません。