『キラメキ☆銀河町商店街』をオススメします

ということで、『キラメキ☆銀河町商店街』(ふじもとゆうき)をプッシュします。
えぇと……何から始めたら良いやら。ふじもとゆうきさんは前作の『となりのメガネ君。』の頃から応援してまして、久々に「発掘した!」と思った作家さんでした。心がぽかぽか温かくなるような、懐かしい温度を感じる作風が一番良いところじゃないかな、と思っています。

さて、『キラメキ☆銀河町商店街』なんですが、商店街の男女仲良し6人組の日々と成長を描いた下町コメディです。女の子3人はそれぞれ、主人公・ミケが八百屋さん、サトが焼き鳥屋さん、イバちゃんがおコメ屋さんの娘。男の子3人は、クロが魚屋さん、マモルがお酒屋さん、キューが蕎麦屋さんの息子。商店街の皆の温かさや、(社会人になってしまった自分にとっては)懐かしい仲間との楽しい毎日、そういうのがぎゅっと詰った序盤1〜5巻はどちらかと言うと恋愛云々というよりは、ノスタルジーと言うか、全体的に人の優しさに溢れた感じになっています。例えば、1巻に載っている駄菓子屋のおばあちゃんの話なんかはその典型じゃないかな。何気ない、けど一瞬一瞬がとても大事で、いつまでも覚えているようなキラキラを毎日これでもかというくらいに詰め込んで、6人揃って笑っている。そんな等身大の眩しい姿に何とも言えない微笑ましさと、同時にもう戻れない切なさをちょっと感じること請け合いです。

キラメキ☆銀河町商店街 第1巻 (花とゆめCOMICS)

キラメキ☆銀河町商店街 第1巻 (花とゆめCOMICS)

この6人のバランスが徐々に崩れ、「楽しいだけじゃいられない」恋愛模様になっていくのが、6巻以降。それまでは、イケメンで軽いように見せて実は一途なキューの飛鳥さんへの恋心なんかを時折織り交ぜて匂わせるだけだった恋愛模様が一気に開花していきます。
6人、そもそも結構恋愛の矢印が入り組んでいて、まともに向き合ってるのってミケ⇔クロだけなんですよね(しかも前半はミケが無自覚だったので矢印出てないに等しかった)。なので、変わらずにはいられない6人の関係はまずすんなり落ち着かない。特に、イバちゃんのキューに対する恋心が高校生らしい、けれどどこか苦労を知ってる女の子の恋愛で、つい応援したくなってしまう。
そもそも6巻の表紙がアレだよ、青春恋愛全開じゃないですか。

キラメキ☆銀河町商店街 第6巻 (花とゆめCOMICS)

キラメキ☆銀河町商店街 第6巻 (花とゆめCOMICS)

現在最新刊は8巻ですが、この巻は三角関係になってしまったミケ・クロ・サトがそれぞれ決断をして、自分たちの気持ちにケリをつける巻です。
キラメキ☆銀河町商店街 第8巻 (花とゆめCOMICS)

キラメキ☆銀河町商店街 第8巻 (花とゆめCOMICS)

個人的に印象に残ったのはミケ⇔クロの告白よりも、寧ろミケ・サトのお互いのクロへの気持ちを正直に伝え合ったところでした。ミケもサトもクロが好きで、だけどお互いのことも好きで、けれどやっぱり恋心も譲れないんですよね。そういう気持ちに正直に向き合ったからこそ苦しくて、知らなかった頃に戻れなくて。ミケとサトが一緒にやきそばを食べたところのモノローグ、ホントに良かったです。

全員お互いがお互いのことを良く知っていて、お互いがお互いを大好きで、ずっと一緒に過ごしてきて、けれど変わらざるを得なくて、という自分が通ってきた道をこうも丁寧に描かれると、あの頃の自分に戻って、大事な人たちと手を繋ぎたいなぁと思ってしまいます。灼きつくように記憶に残る瞬間というのは、もう社会人になって多くはなくなりましたが、そういうたくさんの灼きついた瞬間を大事に大事に綴っている、『キラメキ☆銀河町商店街』はそういう物語だと思うのです。