今だからこそ、ってわけでもないがオススメのエロゲ

つがりゅが話を投げてくれたのでオススメのエロゲを。一応傾向と対策、というわけではないですが、どういう人向き(だと私が考える)かを書いてみました。
ちなみに私がエロゲで大事だと思うのは、(ゲーム性のあるゲームを除いて)やっぱりライターと原画だと思っているのでそちらを併記。なるべく被らないようにしたつもりですが、一部かぶちゃったなぁ……。

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Fate/stay night』(TYPE MOON)…ライター:奈須きのこ/原画:武内崇
「――――問おう、貴方が私のマスターか」
恐らくライターが、主人公が生きる、考えるその時間と同じくらいに生きて、考えて、筆を走らせた作品だと思う。それくらいに心情描写が濃密。日常部分は正直ご飯ネタが大半で詰まらないが、戦闘の熱さ、人の生き様を書かせれば天下一品。
熱い物語、人の信念、そういったものを読みたいならこちら。


車輪の国、向日葵の少女』(あかべぇそふとつぅ)…ライター:るーすぼーい/原画:有葉
「人を好きになれること、時間が平等であること、親が幸福であること
それくらい望んでもいいじゃないですか?」
罪を犯した人々にそれぞれに『特別な義務』が負わされる社会。例えば、ちゃらんぽらんに遊び歩いていたならば、『活動時間を削る義務』を、例えば、色々な異性を惑わせたならば、『恋愛ができない義務』を。そんな世界観にまず考えさせられる。正義は一つではなく、主人公の信念も、それに対する男の信念も――恐らくは正しい。
結婚したいくらい格好いいハードMが見たいなら……じゃなかった、ある一人の男がどうやって強くなったのか、見たいのならこちら。


群青の空を越えて』(light)…ライター:早狩武志/原画:黒鷲
「俺たちの街で、戦争が始まる。」
ヒロインはグリペンです……とは言わないけれど、OPムービーにまったく人物が出てこないのは異様。内容は仮想軍記物、とでも言ったら良いのでしょうか。戦争の中を生きる登場人物たちは皆ストイックで、いつ死ぬか分からないギリギリの精神状況で生きている。
国とは、責任とは、生きるとは、そして戦うとは――かりそめでも考えたいならこちら。


『スマガ』(Nitro+)…ライター:下倉バイオ/原画:津路参汰
「君達のために死ねる!?」
人生リベンジADVの名の通り、死んではやり直し、を繰り返してヒロインを幸せにするゲーム。しかしながら、その道は平坦ではない……主人公の努力と根性と諦めない青臭い気持ち、そんなものがいっぱい詰った一面と、エロゲーとは何か、プレイヤーがエロゲーに何を求めるのか、が浮き彫りになる一面と。でもそういったものはあくまでおまけ。
完全無欠で不条理なハッピーエンドを求めるなら、こちら。


『CARNIVAL』(S.M.L)…ライター:瀬戸口廉也/原画:川原誠
「世界は残酷で恐ろしいものかもしれないけれど、とても美しい。思えば、そんなこと、僕らは最初から知っていたはずなんだ」
主人公・学が殺人容疑で逮捕されるところから始まるこの話。現実よりもリアル、まるで心の中を克明に、鮮明に、薄皮を剥がしてむき出しにしたよう。全てが不安定で、読んでる自分にまで感染してくる虚無感と無気力と、不安な何か。小説版もセットでお読みください。
圧倒的な心情と、リアルと、もう戻れない疾走感のあるある種の懐かしさ。何より、鬼才・天才の作品を求めるならこちら。


あやかしびと』(propeller)…ライター:東出祐一郎/原画:中央東口
「人と妖と人妖の、百鬼夜行にいざ参らん」
エロゲにはあまり見られない登場人物同士皆に繋がりがあるのが魅力的。日常の温かさを経て、登場人物たちが大切なものを守るために、自分に出来る最大限で戦う姿はとても生々しく、実際にその辺りにいる友達が立ち上がったかのような近さを感じます。
ちっぽけで温かくて楽しい日常と、それを守るための勇気。そんな、形を変えれば自分にもあるかもしれない何かを感じたいならこちら。


Quartett!』(Littlewitch)…ライター:飯田和彦/原画:大槍葦人
「――恋のステージ、始まる。」
雰囲気ゲーですが、演出やら何やら相まって、とても心地良い。センスが良すぎて困る。プレイ時間が短いのでサクッと終わります。読後感も涼やかで、何より演出がすごく丁寧なおかげで、余韻がとても綺麗に残る。
エロゲって何だかんだ言って「エロゲ〜」って感じの物なんだろ? そういう先入観を打ち払いたいならこちら。


つよきす』(きゃんでぃそふと)…ライター:タカヒロ/原画:白猫参謀
「ヒロインは全員強気っ娘!」
エッチシーンすら笑いにしてしまうこの威力。B級はB級でもキャラの暴走とノリの良さで最初っから最後まで突っ走れるのはスゲェ! でも所々に結構熱い展開を盛り込んでたりするので油断できません。
大声で突っ込みいれたり笑ったりしたいならこちら。パロディも満載だよ!


沙耶の唄』(Nitro+)…ライター:虚淵玄/原画:中央東口
「爛れてゆく。何もかもが歪み、爛れてゆく。」
この世の倫理観から外れた二人が寄り添って生きていく、憎悪と恐怖と愛の物語。何が合ってるとか何が間違ってるとかって、案外危ういものです。幸せってなに、結局人の生きてるルールって、この程度のものじゃないの?
究極、とは言わないけれど、一つの愛の形を見たいならこちら。

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取り合えず私が好きな作品を出してみた。イチオシは『車輪の国、向日葵の少女』『CARNIVAL』『スマガ』辺りでしょうか。