『どんちゃんがきゅ〜』(light)

途中で投げなくて良かった……途中のまきいずみの頭のネジの外れたバカップルの実況っぷりに「何で私はこのゲームをやってるんだ……」と絶望に近い気分になったのですが、ラストのシリアスっぷりがツボで、「畜生、地の文のあのノリさえ何とかなるんならなぁ……佐々木嘘屋酒人」と思い直しました。このタイトルであの緩い地の文で誰がこのシリアスっぷりを想像できると言うのか。そしてさかここと違ってエンディングが1つ。これは大きいなぁ。どうやっても、俊夫さんとどんちゃんはこういう終わりしか迎えられない、ってことなんでしょうか。ちょっと納得。
第3弾は真路乃の話なんでしょうか。出るなら買いますね、この勢い。

以下ネタバレ注意↓
まさかの俊夫さん裏切りエンドで噴いたw 途中まではこういっちゃなんですが詰まらんというか……何か物足りない感じです。どんちゃんも俊夫さんも出来た人過ぎて、「あぁ、まぁほのぼのですよね。どう見ても苦労しすぎだけど、あんたらはその持ち前のほのぼのさで何とかしていくのよ……ねぇええええ工エエェェ(´д`)ェェエエ工工(←エンディング突入)」という。親方とどんちゃんのやり取りに始まって、自分でも気づかないスランプに陥った俊夫が、仕事とどんちゃんを天秤にかけて、あんなにどんちゃんのことを好きだ好きだと言っていたのに、「僕は仕事を取ります」と言ったところ、その続きのどんちゃんヤンデレ化の流れがヤバすぎる。壊れたどんちゃんが発した言葉が「俊夫さん」と叫び声しかなかった辺り、非常に良かった。ラストは一見元鞘であるにも関わらず、何という不安定な二人、という感じです……俊夫さんは良い人じゃなかったね! 根っからの職人さんだったね! そしてどんちゃんはほのぼの尽くし系ヤンデレ嫁さんだったね! こういっては何ですが、こんな古い男女観に則ったエロゲってすごい珍しいと思います。俊夫さんは職人で、どんちゃんはそれを支える妻。俊夫さんは時にどんちゃんに支えてもらいながら職人として働くわけですが、ここで面白いのは依存しているのは支えているどんちゃんの方なんじゃないかな、ということ。どんちゃんがあそこまで尽くせるのはひとえに俊夫さんが好きだからなわけですが、『いつも傍にいる』という見返りをしっかりと求めていて、それを取り上げられそうになると壊れてしまうという。
……縁側で話をしているラストの二人の絵が何だか怖く見える(;´∀`)
あと、職人と言うかプロの世界の厳しさをここまで書いてるのも珍しいな。だって救いがないんですもん、正論なんだけど。理不尽なんだもん、正論なんだけど。エロゲやってる時にこの種のリアルさを求める人、予期する人ってそうそういないと思うので、結構面食らうんじゃないかな、と思います。お話としての優しさもあまりない。お話としての優しさ、っていうのはつまり、こういう風に厳しいことを言いはするけど、裏ではこうなんだよ、みたいな。プレーヤーとキャラクターに対するフォローですね。今回は、親方やシュリさんがそういう厳しいことをいうキャラなわけですが、その二人の裏話的なフォローはまったくと言って良いほどありません。そこにフォローが入らないことで、結果的にプレーヤーにもフォローが入らない。それがどこかリアルと通じるところがあって面白い(現実は一人称で、三人称的フォローは入りませんからね)。
まぁ総じて、あまりエロゲっぽくないお話な気がします。朝の連続テレビ小説っぽいかな、ある意味。