シュガーコートフリークス(Littlewitch)

何というか……最後まで「良作」どまりまでしか作れない、良い意味でも悪い意味でもLittlewitchらしい作品でした。個人的にはLittlewitchは『Quartett!』が最高だったと思ってまして、それは何故かと言うと、実に「身の丈に合った」ものを「ごく丁寧に」仕上げた作品だったからです。起用しているライターさんの特質的に、変に壮大な話ってあまり合ってない気がするんですよ。壮大な話が軽く薄く描かれてしまうために、「ん?」と首を傾げてしまう。普通に楽しい日常や若者らしい悩みを描く作品が一番Littlewitchの魅力を「らしく」引き出してくれるんじゃないでしょうか。ブランド復活の際は肩の力を上手く抜いた作品を見てみたいですね。

*マリールート★☆☆☆☆(マリー:★★★☆☆)
うーん、シナリオ的には……展開が性急過ぎるのと、二人の恋の障害がお母さんの話一つに集約されてしまって盛り上がりや物語の厚みに欠けたことが敗因かなぁ。主人公が結婚式の土壇場で決心を変えるのがちょっと……前々から仕込んでたらあの展開でも許せるんですけど。あと共通ルートの儀式〜ライカ退場まで、マリーが完全蚊帳の外なので「いつの間に愛を育んだの??」と思ってしまった。マリー自身は可愛かったので、調子の良い女友達がふとした瞬間に見せた疲れた姿に、支えてやりたいと思うようになるのは王道っちゃー王道だと思うのですが。エロに節操がなかったのもちょっと残念でした。博士の部屋で始めちゃダメです。

*レンルート:★★★★☆(レン:★★★★☆)
レンのお父ちゃんワロタw ペンギン間抜けすぎw(でも大槍てんてーにありがちな、人間化したら美形) まさかペンギンに泣かされるとは思っても見なかったんですけどね。個人的にレンの出生の秘密が老師様から語られたときはもっとシリアスな展開になるのかなぁと思ってたんですが、お父ちゃんが笑えるキャラだったおかげで終始明るい雰囲気になったのが逆に良かったと思います。
子犬系のレンは少なくとも今までの小魔女ではあまりないキャラだったと思うのですが、個人的に羞恥心・恋心を知らなかったヒロインが、羞恥心・恋心を知ってうろたえたりするのが大好きでして、その辺りは素直に楽しめました(難を言えばもうちょっと恥じらい期間を長くしてほしかった)。

*ジルルート:★★★★☆(ジル:★★★★☆)
なかなか良く出来たルートではなかったかと。ジルが癒しの力を使えなかったこと、ハルが剣を止めてしまっていたこと、上手いことその辺りがスパイスになって、良い感じの王道ストーリーになってます。ようやくハルが主人公らしいカッコ良さを見せ付けてくれた。剣の達人とは言え、一年サボってたにしてはちょっとやりすぎでしたけど。しかしジルが王族としての立場を考えて身を引いたりとか要らないことをしなくてホント良かったです。そういう逃げるシナリオ、よっぽど上手くやらない限り、単に終盤にもう一つ盛り上がり作りたい、って意図にしか見えないですからねぇ。
そうそうラストの結婚式CG、非常に良かったです。

*珠子ルート★★★★☆(珠子:★★★★★)
珠子可愛かった……けどアレだ、どう考えても性愛の対象にはなりにくい。くまさんポーチを下げた女の子とセックスなんて……! 特に騎乗位CGは見た瞬間にディスプレイ見ながら「ご、ごめんなさい……」と誰にともなく呟いてしまった。いや、まぁ途中からノリノリになりましたけどね。
これまたストーリーは王道です。何もかも諦めかけ擦り切れていたお姫様の心を救う男の子とその仲間達の物語。一人でやり遂げようとしたハルに、友達が協力してくるのもお約束ですが良い感じ。ハルの親御さんの話は地味に泣けた……親御さんは親御さんで正しい決断をしたんでしょうが、親の果たせなかったことを子が果たす、世界を敵に回しても好きな子を取る、何ともシンプルで王道です。物語の導入を上手く絡めたエンディングも良かった。
ジノの親父さんの「王とは、その決断に己の首をかける者」という言葉が印象的でしたが、全体的にこういった重みのある言葉を重みあるように受け止めるにはちょっとキャラクターの描写が弱すぎた感じです。
キャラクターの描写が上手いなぁと思ったのはライカだったんですが、彼女のルートがなかったのは何でなんでしょう……どう考えてもマリーより姫だろ……。
あ、あとエンディングのWHITE-LIPSは最高だった。